コロナウイルス

「2020年新薬として承認が下りている」米国、英国、ロシア。他の国の現状は?

新型コロナウイルス感染症のワクチンは、国内外で開発が進められています。現時点では国内で薬事承認された新型コロナウイルス感染症のワクチンは存在せず、ワクチンの開発には一般に年単位の時間がかかりますが、厚生労働省では、できるだけ早期にワクチンを実用化し皆様にお届けできるよう取り組んでいます。

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抗体医薬

中でも活発なのが、新型コロナウイルスに対する中和抗体の開発です。現在、アストラゼネカやイーライリリー、リジェネロン、グラクソ・スミスクラインなどが臨床試験を進めています。

 

米FDAは11月9日、イーライリリーとカナダのアブセラが共同開発した中和抗体バムラニビマブについて、重症化や入院のリスクが高い軽症から中等症のCOVID-19陽性者を対象に緊急使用許可を出しました。11月21日には、米リジェネロンのカクテル抗体カシリビマブ/イムデビマブにも緊急使用許可が出されました。

 

アストラゼネカは10月から、COVID-19患者に由来する2つの抗体を組み合わせたカクテル抗体「AZD7442」のP3試験を実施中。米国のビル・バイオテクノロジーと提携するグラクソ・スミスクラインも、抗ウイルス抗体「VIR-7831/GSK4182136」がP3試験に入りました。両社は別の中和抗体「VIR-7832」の開発も進めており、年内にP1b/2a試験を始める予定です。

 

武田薬品工業は、米CSLベーリングなど血漿分画製剤を手掛ける海外の製薬企業9社と提携し、原因ウイルスSARS-CoV-2に対する高度免疫グロブリン製剤の開発を進めています。10社は、原料となる血漿の採取から臨床試験の企画・実施、製造まで幅広く協力し、ノーブランドの抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤を共同で開発・供給する計画です。

 

武田は10月9日に、NIAIDがP3試験を開始したと発表。試験は、米国やメキシコのほか16カ国で、最大500人の入院患者を登録する予定です。年内にも試験結果が判明すると見込まれています。

 

低分子薬ほか

低分子の抗ウイルス薬の開発も進められています。

 

米メルクは米リッジバック・バイオセラピューティクスと提携し、抗ウイルス薬「MK-4482」のP2試験を実施中。塩野義製薬は北海道大との共同研究で特定した抗ウイルス薬について、今年度中の臨床試験開始を目指していましたが、安全性・有効性のさらなる検証が必要と判断。今年度中の臨床試験開始を断念し、研究を続けてくことを明らかにしています。

 

オンコリスバイオファーマは鹿児島大と契約を結び、同大が見出した抗ウイルス薬の開発に着手。カネカは国立感染症研究所と共同で治療用抗体を開発しており、製薬会社と組んで21年度中に臨床試験を始めたいとしています。ペプチドリームは抗ウイルス作用を持つ特殊ペプチドの開発を進めており、10月に富士通などと開発のための合弁会社を設立。富士通の量子コンピューティング技術などを活用し、開発を加速させるといいます。

 

ビルは米アルナイラム・ファーマシューティカルズと共同でSARS-CoV-2を標的とするsiRNA核酸医薬も開発しており、開発候補として吸入型のsiRNA「VIR-2703(ALN-COV)」を特定。今年の末をメドに臨床試験を始める見込みです。今年5月、国産初の核酸医薬となるデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬「ビルテプソ」(ビルトラルセン)を発売した日本新薬も、新型コロナウイルスに対する核酸医薬の開発を検討。バイオベンチャーのボナックもCOVID-19向け核酸医薬の研究を進めています。

 

抗ウイルス薬ではありませんが、独ベーリンガーインゲルハイムはCOVID-19による重篤な呼吸器疾患を対象に、TRPC6阻害薬「BI764198」のP2試験を10月に開始しました。

 

ワクチン

WHOの12月2日時点のまとめによると、現在、臨床試験に入っているCOVID-19ワクチン候補は51種類。このほかに163種類が前臨床の段階にあります。

 

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