IPPONグランプリでの面白いものといえば、矛盾しているのになぜか笑えてしまう言葉たちですよね!
過去のお題と重複しないように議論をしながら制作していると思われますが、過去のお題リストを観ていると、一定の問いのデザインパターンが存在することが見えてきます。これらはもしかするとファシリテーションやイノベーションプロジェクトに応用できるかもしれませんので、いくつか発見できたパターンをまとめてみます。
オクシモロン (oxymoron)とは、意味が矛盾する言葉を並べて、表現を豊かにするレトリックの手法です。シェイクスピアが多用していたと言われています。書籍『問いのデザイン』の事例で示した「危険だけど居心地が良いカフェとは?」などは、これに該当します。固定観念に相反する形容詞が与えられることで、トレードオフ関係のなかで、二項対立の先にある発想が誘発されます。2020年6月13日に放送された『IPPONグランプリ』の決勝戦の最後のお題「検便をエレガントに言い換えよ」も、このパターンだといえますね。(バカリズムの優勝回答は「クソワッサン」でした笑)
過去のお題の例
・メルヘンチックな強盗。どんなの?
・「おやじ狩り」されたけどなんか嫌じゃない。なぜ?
・かっこいい寝言を言って下さい
・「この泥棒、育ちがよさそう」その理由は?
3.既存物語の拡張
すでに広く普及した童話や映画など既存のストーリーを前提にして、その物語の続きや、発展的な設定について問うパターンです。文脈がすでに固定化されていますので、その文脈に「乗りながら想像」したり、逆に既存の文脈では起こらなさそうな設定へと「ズラす」ような思考が誘発されます。
過去のお題の例
・13日の金曜日に暴れ回るジェイソン。14日の土曜日は何をしてる?
・ゴジラが街を壊すときに心がけている事とは?
・ゲゲゲの鬼太郎が自伝を出版そのタイトルとは?
・昔話「浦島太郎」が本当に伝えたかったこととは?
・映画【踊る大捜査線】パート1は「事件は会議室で起きてるんじゃない!」パート2は「どうして現場に血が流れるんだ!」ではパート3で、青島刑事が叫んだ言葉とは?
・フック船長が「このフック飽きたな~」何に変えた?
4.プラスワン
前述の(3)既存物語の拡張に似ていますが、既存のラインナップに+1を加える問いのパターンです。すでにあるものの文脈を引き継いでプラスするか、壊してプラスするかで回答の趣向が変わります。
過去のお題の例
・相撲の決まり手が1つ増えて八十三手になりました。何ですか?
・新たなルールが加わりあっち向いてホイ界に革命が! なに?
5.不要機能
常識的に考えればユーザーにとって「必要のない」機能について、想像させる問いのパターンです。制約はシンプルですが、常識から一歩外にでながらも、はちゃめちゃな回答ではなく「面白い」ことを言わなければいけないので、ひと工夫が求められます。
過去のお題の例
・最新型洗濯機。「この機能いる?」どんな機能?
・銀行のATM「これいるか?」何のボタン?
6.境界ギリギリ
物事のAとBのカテゴリの境、価値の曖昧な領域の具体例について問うパターンです。これより左に行けばAにカテゴライズされてしますが、少しでも右に行けばBにカテゴライズされてしまう。そのような曖昧なラインを探るのは、創造性が求められます。
過去のお題の例
・放送コードギリギリOKの芸名を教えて下さい
・格安航空会社。「そこまでするなら格安じゃなくていいよ!」どんなの?
・不倫してもギリギリ許されそうなタレントを教えて下さい
・ネコがギリギリ言えそうな人間の言葉を教えて下さい